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シングルマザーが生涯すむなら持ち家がいい
私の結論から言うと、シングルマザーが将来的に住むには圧倒的に持ち家がいいと思います。
理由は「歳を取ったら賃貸は貸してもらえないから」ということに尽きます。

賃貸と持ち家、住むとしたらどちらがお金がかからないか、は意味がない
よく「賃貸と持ち家、生涯かかる金額はどちらがお得か?」という話題がありますが、地域によって家賃の相場・土地の値段の相場が違いますし、家賃も「古くても狭くても安いところに住みたい」という人がいる反面「多少高くても新しくて綺麗な部屋に住みたい」という人もいます。
都心なら駅から近いか、都市部から離れているかというだけで倍以上家賃が違いますし、私が住んでいる北海道の田舎にでもいけば、2LDK・築10年以内で家賃5万円の物件なんてものもザラにあります。
子供の人数で借りる部屋も建てる家も変わってきますし、持ち家を建てるときも工務店によっては同じ広さでも1,000万円以上金額が変わってきます。
また、一生賃貸で暮らすのか、公営住宅も視野に入れているのか、賃貸で暮らしてから持ち家を買うのかで生涯にかかる金額は大幅に変動します。
一生賃貸で暮らすにしてもずっと同じ家賃の物件で暮らすわけではなく、そのときの状況によって間取りも場所も変わってくるので、単純にどちらが得かと比べられるほど信憑性の高い金額も出せません。
生活環境によって大幅に変わってくる家賃や住宅ローンの金額を比較しても、あまり意味がないことだと思います。
なぜシングルマザーはずっと賃貸ぐらしだとダメなのか
シングルマザーで実際に再婚もする予定がない人は、おそらく老後一人暮らしになることも想定していると思います。
私も一応その可能性も考えた上で自分の家を建てました。
私は宅建の資格を取ってから不動産会社で働いて、現在11年近くになります。

その中で身に染みたことは「歳を取ってからだと賃貸は借りられない」ということです。
まして、高齢者の一人暮らしだとなおさら借りにくくなります。
必然的に再婚していないシングルマザーは、子供と同居しない限りは子供が巣立つと一人暮らしになります。
まだ30代、40代の人だとそこまで考えないかもしれませんが(実際私もこの仕事をしていなければ考えていなったと思います)、高齢者の賃貸物件の借りにくさと言ったら大変なものです。
お金があっても、保証人がいても、子供がいても「高齢者一人の賃貸暮らし」は歓迎されません。
ここまで来たら想像はつくかと思いますが物件を持っている大家さんが一番恐れることは「賃貸物件で入居者が亡くなる」ことだからです。
部屋の中で孤独死した場合は「自然死」とされるので、次の入居者に告知義務が必ずあるかと言われると実は無いです。
しかし、次の入居者が決まって住んでいる最中に、同じ物件に住んでいる他の部屋の人から「その部屋に前に住んでいた人、部屋で亡くなったんだよ」と後から聞くことは実際にある話です。
実際に、「聞いていたらここに決めなかった。退去するから退去費用を出せ」や「そんな部屋なら家賃を安くしろ」とトラブルになることもあります。
リスクを考えると先に話しておいた方がいいのですが、そうなると部屋を借りてくれる人が少なくなり、話しても話さなくても大家さんにとってはデメリットしかありません。
ですので、大家さんとしては最初から少しでもリスクを減らしておきたいのです。
高齢者でもまだ「2人暮らし」なら、たとえばどちらかが倒れたときに家族や救急車に連絡をすることができますが、「1人暮らし」だと長時間誰にも気付かれない可能性が高いので(その先はご想像におまかせします)、余計に敬遠されます。
不動産会社で賃貸物件の管理をしている会社に勤めている方ならわかると思いますが、「隣の部屋から異臭がする」と連絡が来ることはテレビの中の話だけではなく、現実的な問題なのです。
高齢者になるとどのぐらい賃貸物件が借りにくいか
60代・・・若い方とそれほど変わらずに借りることが出来ます。
70代前半・・・大家さんによっては断られることが出てきて、可能性としては半々となります。
70台後半・・・かなりの確率で断られてしまいます。
80代以上・・・ほぼ断られます。
大家さんが管理会社に物件の管理を任せている場合、現在では保証会社をつけて契約することが多いですが、高齢だと保証会社の審査が通らないことが多いです。
一度住んでしまえば家賃の滞納が続いたり、周りに迷惑をかけて注意されても改善しないなど、退去させられるような要因がなければ、大家さんや管理会社の方から「高齢だから出て行け」とは言えません。
なので、もし70代になってから賃貸物件を借りられたなら、住替えなどは考えずにそこに居座ることを考えましょう。
子供が近くに住んでいて頻繁に行き来があったり、定期的にヘルパーさんが来てくれていて、連絡がつかない場合に気付いてくれる人がいるなら、審査は格段に通りやすくなります。
もし、高齢で賃貸物件を探しているならそういったプラス面を審査のときに伝えると、住める部屋が見つかる可能性が高くなりますよ。
退去させられるような原因がなくても退去しなければならないことがある
賃貸住宅は「何かやらかさない限り、一度住んでしまえばこっちのもの」という面もあるのですが、困るのが「老朽化のため建物の取り壊し」や「区画整理などで立ち退き」になった場合、あるいは抵当権が実行されて新しい所有者が退去を要求した場合などです。
※抵当権が実行されて新しい所有者が退去を求めた場合、賃借人は6ヶ月以内に退去しなければなりません。
賃借権が登記されていなることなど、対抗要件はありますがあまり現実的ではありません。
高齢者でも大家さんによっては貸してくれる物件があることにはあるのですが、そういった物件は大体がかなり古くて入居率が低いうえに、大家さんも高齢なことが多いです。
相続しても物件自体にそれほど価値があるわけではないですし、入居率も悪いし耐震性のことも考えると古い建物を持っていられないからと、大家さんの子供が相続したタイミングで取り壊して土地を売ってしまったり、新しい建物を建てることも多いです。
高齢になってからなんとか入れた賃貸物件から出て行かなければならなくなると、いよいよ借りられる物件がなくなってしまいます。
2017年高齢者や障害者、低所得者など「住宅確保要配慮者」の入居を大家さんが断らない住宅を自治体に登録してもらう「新たな住宅セーフティーネット法」が施工されました。
目標は2020年度に17万5,000戸ですが2018年5月の時点で達成率0.4%で登録がゼロの自治体も多数あります。
高齢者の住宅確保は今後も厳しい状況が続くことが予想されます。
シングルマザーは中古でもいいので持ち家がおすすめ

私は中古住宅でも良いので、ずっと住み続けられる自分の家を持つことをおすすめします。
記事の冒頭でお伝えしたとおり、賃貸と持ち家どちらがお金がかからないかを比べるのはあまり意味がないことだと思いますが、決定的に違うことは「持ち家なら財産として価値がある」ということです。
賃貸は何十年住み続けても自分のものになるものは何ひとつありませんが、持ち家ならマンションなり土地なり、自分の物になります。
子供に財産として残してあげることも出来ますし、もし高齢で施設に入らなければならないような事情が出た場合には、売って資金にすることもできます。
シングルマザーが持ち家を持つには

シングルマザーだからといって住宅ローンが不利になることはありません。
一般的な要件を満たしていれば、住宅ローンは通ります。
一般的な要件とは
・正社員である程度の勤続年数
・ある程度の年収
・健康
・過去にクレジットカードや現在税金の滞納がないこと
・住宅ローンのローンや借り入れがないこと
こんなところでょうか。
年収は300万円でも通ったという話は聞きますし、銀行によっては女性向けの住宅ローン商品を出しているところもあるので、シングルマザーが持ち家を持つというのはそれほど夢のような話でもありません。
派遣でも審査できる住宅ローンもありますが、通るかどうかはまた別問題で正社員の方が通りやすいのは間違いないです。
もしこれから持ち家を考えるなら、まずは「正社員」を目指して3年ぐらいは働くことを目指すのが一番早いと思います。
最初は持ち家なんて諦めていたけれど、実際にプロに相談してみたら新築ではなくても、中古住宅なら手が届くという例は多数あります。
私は北海道に住んでいますが、中心部から離れれば1,000万円代で土地付きで売っている中古住宅はたくさんありますので、最初から「私には持ち家は無理」とあきらめずにまずは相談だけでもしてみましょう。
私自身、「自分の家を持つ」ということを現実的に考えられるようになったのは、以前にファイナンシャルプランナーのお金に関する無料の講演会に、知り合いの付き合いで行ったことがきっかけでした。
そこから「子供と一緒に住む自分の持ち家」というのがイメージとして現実的になっていったので、現在なんとなく「持ち家が欲しいな・・・」と思っている方は、一度専門家に相談してみると自分が何をしたら持ち家を持てるのかが見えてくると思います。